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しかし犬が痛みの叫びを上げたことによって、恐れが吹き飛んだ。もしそれが傷を受けるのなら、現世の生物だ。傷をつけられるなら、殺す事が出来る。この夜のホームズほど速く走る人間は見たことがなかった。私は自分でも足が速い方と思っているが、ホームズは私が小さな警部を引き離したと同じくらい私を引き離していた。私たちが道を走っている時、サー・ヘンリーが何度も悲鳴を上げ、犬が低くうなるのが聞こえた。私が見ている前で、獣は獲物に飛びつき、地面に引き倒し、喉元に噛み付いた。しかし次の瞬間、ホームズが五発の銃弾すべてを犬の腹に撃ちこんだ。苦痛に断末魔の叫びを上げ、凶暴な犬は空中に跳ね上がり、背中から落ちて転がった。四本の足で激しく宙を掻いた後、ぐったりと横に倒れた。私は息を切らして、犬にかがみ込み、恐ろしい輝く頭に拳銃を押し付けた。しかし引き金を引く必要はなかった。巨大な犬は死んでいた。
サー・ヘンリーは倒された場所で意識を失って横たわっていた。私たちはカラーを引きちぎった。そこに怪我の跡がなく、間一髪で彼を助ける事ができたのを知ると、ホームズは小さく感謝の祈りを捧げた。すでにサー・ヘンリーのまぶたは震え、彼はかすかに動こうとしていた。レストレードが準男爵の口にブランデーの瓶を突っ込むと、二つの怯えた目が我々を見上げた。
「ああ!」彼は叫んだ。「あれは何です?いったいあれは何だったんですか?」
「何であれ、もう死にました」ホームズは言った。「バスカヴィル家の幽霊はきれいさっぱり片付きました」
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