「よし!」ホームズは言った。「では、僕は君たち二人に、素晴らしく楽しい田舎の散策をお勧めする。僕が聞いたところでは、バールストン・リッジからのウィールド地方の眺めは素晴らしいということだ。もちろんどこか良いホテルなどで昼食もできるだろう。この地方は不案内なので、どこがいいか、お勧めは出来ないが。夜になれば、心地よい疲労が・・・・・」
「ちょっと、冗談じゃないですよ!」マクドナルドは、怒りのあまり椅子から立ち上がりながら叫んだ。
「まあ、じゃ、好きなように過ごせばいい」ホームズは明るく肩を叩きながら言った。「好きな事をして行きたいところに行く。しかし、夕暮れまでに間違いなくここで僕と落ち合う、 ―― 間違いなくだ、マック君」
「それなら、まだましな提案ですね」
「最初のも素晴らしい提案だ。まあ、僕が必要な時に君達がここにいさえすれば、固執はしない。しかし、別れる前に、これからバーカー氏に手紙を書いて欲しい」
「は?」
「どうか、僕の言うとおり書いて欲しい。用意はいいか?」
「拝啓」
「堀の水を抜く必要がある事が判明しました。捜査に関係するものが・・・・」
「そんな馬鹿な」警部が言った。「既に調べました」
「チッ、チッ、マック君、頼んだようにしてくれ」
「ええ、どうぞ」
「・・・・・捜査に関係するものが、何か発見できると予想しております。準備は整えていますので、作業者は明日の朝早く到着し、川の流れを逸らせ・・・・・」
「馬鹿な!」
「流れを逸らせますので、あらかじめ状況をお伝えしておくべきと考え、連絡致します」
「じゃ、それにサインして、四時頃手渡してくれ。その時刻にこの部屋で会おう。それまで我々はそれぞれ好きな事をする。この調査が一休みするところに来たことは間違いない」
我々が再び集合したとき日は暮れかかっていた。ホームズは非常に真面目な様子で、私も興味津々だったが、警部達は明らかに批判的で苛立っていた。