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「それは構わない」私は答えた。「しかし誰かが問い合わせてきたとしても、僕は指輪を持っていないぞ」
「いや、持ってるよ」彼は私に指輪を手渡しながら言った。「これで上手く行くだろう。ほとんどそっくりだ」
「君は誰がこの広告に答えると予想しているんだ?」
「もちろん茶色いコートの男、・・・・血色よい、爪先が四角い我々の友人だ。もし彼が自分で来ないとすれば、共犯者を送り込むだろう」
「それは危険すぎると思うんじゃないか?」
「そんなことはない。もしこの事件に対する僕の見方が正しければ、 ―― そして僕はあらゆる面から見てそうだと信じるに足る根拠を握っているが ―― 、この男はその指輪を取り返すためにどんな危険でも冒すだろう。僕の考えでは、彼はドレバーの死体にかがみこんだ時それを落とし、その時は気付かなかった。彼は家を出た後、指輪を無くした事に気付き、急いで戻った。しかし、ロウソクをつけたままにしておくという自分の愚かな行為によって、警官がすでに部屋にいたことに気付いた。彼は門扉に現れたために、怪しい人間と疑われる可能性があったので、よっぱらいのふりをせざるを得なかった。ここで自分を男の立場に置いてみよう。状況から考えれば、家を出た後、指輪を道に落とした可能性がある、彼はこう思ったはずだ。その後彼はどうするか?彼は取得物広告に指輪が載っているかもしれないと期待して一生懸命夕刊を読んだだろう。もちろん、彼の目はこの広告に止まる。彼は大喜びする。なぜ罠を恐れなければならないのか?彼の目から見れば、この指輪の発見が殺人に関係していると考える理由は全く無い。彼は来るはずだ。彼はきっと来る。一時間以内に君は彼に会う事になる」
「会った後どうしたらいいんだ?」私は尋ねた。
「君は僕が彼を捕まえるのを見ていればいい。武器は持っているか?」
「昔の軍隊用拳銃と銃弾が少々だ」
「掃除して弾を込めておいてくれ。犯人は自暴自棄になるかもしれない。相手が気付かぬうちに捕まえられると思うが、あらゆる事態に備えておくのがいいだろう」
私は寝室に行って彼の言うとおりにした。私が拳銃を持って戻ってきた時、食卓は片付けられていた。そしてホームズはせっせとバイオリンを引っかく、お気に入りの仕事をしていた。
「僕の計略は煮詰まってきたよ」私が入ると彼が言った。「ちょうどアメリカから電報の返事を受け取ったところだ。この事件に対する僕の見解は正しいな」
「それは・・・・?」私は、はやる気持ちで尋ねた。
「バイオリンの弦を替えた方が良さそうだ」彼は言った。「拳銃をポケットに入れておけ。男が来たら、普通に話してくれ。後は僕に任せてくれ。じろじろ見て怯えさせないようにな」
「今8時だな」私は腕時計を見ながら言った。
「そうだ。おそらくあと数分で来るだろう。その扉を少し開けてくれ。それでいい。それから鍵を内側から差し込んで。ありがとう。この古本は奇妙な本だよ。昨日、ある店で買ったんだ、 ―― 民族間の法律 ―― 、1642年ローランズのリージュでラテン語で出版されたものだ。この小さな茶色い背表紙の本が印刷された時、チャールズの頭はまだしっかり胴についていた」
「出版者は誰だ?」
「フィリップ・ド・クロイ、何者かな。見返しに、非常に色あせたインクで、『グルエルミ・ホワイト蔵書』と書いてある。ウィリアム・ホワイトとは誰だろう。多分、誰か実務的な17世紀の法律家だろう。この筆跡には法律家特有の癖がある。さあ来たようだな」
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