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だから私は待った、・・・・しかし残念なことにいくら待っていてもいい知らせはなかった。何日たってもホームズは一歩も前進しなかった。ある朝、彼はロンドンで時間を過ごした。そして何気なく漏らした言葉から私は彼が大英博物館に行っていたことを知った。この遠出を除いて、彼はよく一人きりで長い散歩をしたり、彼が親交を深めていた大勢の村の噂好きたちと話をして一日を過ごした。
「この田舎で一週間を過ごすのは非常に有益だという確信があるよ、ワトソン」彼は言った。「生垣の最初の緑色の若芽や、ハシバミの花穂をまた観察できるのは非常に楽しい。小さな鋤、ブリキの箱、植物学の入門書、これがあれば充実した毎日が送れる」彼自身、こういう道具を持ってあたりをうろついたが、夜持って返って来た植物はどれもたいした物ではなかった。
私達がうろついていると時々ベインズ警部に出会った。彼は太った赤ら顔いっぱいに笑みをたたえ、ホームズに挨拶する時小さな目が輝いた。彼はこの事件のことはほとんど話さなかった。しかしそのわずかな話から、彼も調査の状況に不満を持っているわけではないと分かった。しかし犯罪から約五日ほど経った時、私が新聞を広げた時、大きな活字を見つけて少し驚いたことは、認めざるを得ない。
オクスショット事件
解決
容疑者逮捕
私が見出しを読んだ時、ホームズは刺されたように椅子から跳びあがった。
「なんだと!」彼は叫んだ。「ベインズが犯人を逮捕したという意味じゃないだろうな?」
「そうらしい」私は次のような記事を読みながらそう言った。
「昨夜遅く、オクスショット殺人事件に関係する逮捕が行われたと判明し、イーシャーとその近隣地方に大変な興奮がもたらされた。この事件はウィステリア・ロッジのガルシア氏がオクスショット共有地で死体となって発見され、死体には激しい暴行を受けた痕跡があった事件である。その夜彼の使用人とコックが逃亡したが、これは彼らがこの犯罪に関与していた事を示しているものと見られる。はっきりした証拠はなかったが、殺された紳士が貴重品を家に置いており、それを奪う事が犯罪の動機だったと考えられていた。現在この事件の担当をしていベインズ警部は、逃亡者の潜伏場所をはっきりさせるために、あらゆる努力をした。そして彼は、彼らがあまり遠くに行っておらず、あらかじめ用意されていたどこかの隠れ家に潜んでいると信じるに足る根拠を持っていた。しかし当初から彼らが結局発見されるのは確実だった。窓からちらっとコックを見かけたことがある商人が一人か二人証言したところでは、コックは、非常に人目につく外見をした男だった。彼は巨体の醜い混血で、はっきりとした黒人種の褐色の顔をしていた。同じ夜、彼が大胆にもウィステリア・ロッジに戻ってきた時、彼はウォルター巡査に発見され追跡されたため、この男は犯行後にも目撃されていた。ベインズ警部は、この男が何か目的があって家を訪れたものであり、もう一度やって来る可能性が高いと考え、家を無人にして低木の茂みの中で待ち伏せした。男は罠にかかり昨夜格闘の末取り押さえられた。その際ダウニング巡査がこの粗暴な男にひどく噛まれた。我々の取材によると、逮捕者が予審判事の元に送られれば、警察によって再拘留手続きが提出される見込みである。そしてこの逮捕によって大きな進展があることが期待されている」
「何が何でもベインズにすぐ会わなければ」ホームズは帽子を取り上げながら叫んだ。「彼が家を出る前に捕まえよう」我々は村の道を急ぎ足で行って予想通り警部が家をちょうど出ようとしているところを見つけた。
「新聞は読みましたか、ホームズさん?」彼は自分の新聞を我々に差し出して尋ねた。
「ああ、ベインズ、読んだよ。僕が友人として一言注意しても、ぶしつけと受け取らないで欲しい」
「注意ですか、ホームズさん?」
「僕はかなり入念にこの事件を捜査してきた。そして僕は君が正しい方面を調査しているとは思えない。君に確信がない限り、あまり深入りして欲しくない」
「それはご親切に、ホームズさん」
「君のためを思って言っているんだ」
ウィンクのような瞬きが一瞬、ベインズの小さい目の一つで起きたように見えた。
「我々はそれぞれ自分のやり方で行くと納得し合いましたね、ホームズさん。私がやろうとしているはそういうことです」
「ああ、そうか」ホームズは言った。「悪く思わんでくれ」
「思いませんよ。あなたは私に良くしてくれていると思います。しかし皆それぞれの流儀があります、ホームズさん。あなたはあなたの、そして多分私にも私なりのものが」
「それはもう繰り返さなくてもいいだろう」
「私の情報が知りたければいつでもどうぞ。この男は完全な野獣です。馬車馬のように強く、悪魔のように凶暴だ。彼は警察が取り押さえる前にダウンズの親指をほとんど噛みちぎりかけました。彼は英語はほとんど一言も話せませんので、我々はうなり声以外なにも供述を取れません」
「それで、彼が死んだ主人を殺したという証拠があると思うのか?」
「そうは言っていません、ホームズさん、そうは言っていません。人はそれぞれやり方があります。あなたはあなたのやり方でやり、私は私のやり方でやる。そういう約束でしたね」
ホームズは私達が別れた時肩をすぼめた。「あの男に分からせる事はできないな。彼は滝壺に向かっているみたいだ。まあ、彼の言うとおり、我々は自分の道を進んでどうなるか見てみよう。しかしベインズ警部は何か僕のよく知らない事を握っているな」
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