コンプリート・シャーロック・ホームズ
ホーム長編緋色の研究四つの署名バスカヴィル家の犬恐怖の谷短編シャーロック・ホームズの冒険シャーロック・ホームズの回想シャーロック・ホームズの帰還最後の挨拶 シャーロック・ホームズの事件簿

「お前は長いこと首を締めて欲しかったようだが、テッド・ボールドウィン、 ―― 今望みがかなったな」マギンティは叫んだ。彼の大きな胸が荒い呼吸に波打った。「多分、俺が支部長の選挙に落ちたら、自分が俺の後釜になると考えていたんだろう。支部のためにこれは言っておく。しかし俺が長である限り、誰にも俺や俺の裁定に文句は言わさん」

「私は何も文句はありません」ボールドウィンは喉をさすりながらつぶやいた。

「そうか、では」マギンティは一瞬で見せ掛けの陽気さに戻って叫んだ。「俺達はみんなまた良い仲間だ。これでこの件はおしまいだ」

彼はシャンペンの瓶を棚から降ろし、コルクをねじって抜いた。

「さあ」彼は背の高い三つのグラスに酒を注ぎながら続けた。「喧嘩の仲直りの支部の乾杯をあげよう。それから、分かっているな。俺達の間にわだかまりは無しだ。さあ、左手をのど仏にあてろ。お前に言う、テッド・ボールドウィン、何が腹立たしいのか?」

「雲が厚い」ボールドウィンが答えた。

「しかしどこまでも晴れ渡るだろう」

「このように誓う!」

男達はグラスから酒を飲んだ。そして同じ儀式がボールドウィンとマクマードの間でも交わされた。

「さあ!」マギンティが手を擦りながら叫んだ。「これで根に持つような事は終わりだ。お前は支部の規律の管轄下だ。ボールドウィン同志が思い知ったように、これ以降、ここでの規律は厳しいぞ。そしてお前もすぐに分かるだろう、マクマード同志。もしお前がいざこざを起こせばな!」

「間違いなく、そんなことを軽々しくしないようにします」マクマードは言った。彼はボールドウィンに手を差し出した。「俺はすぐ喧嘩をするがすぐに仲直りする男だ。それが血の気の多いアイルランド気質だと言われている。しかし俺にはもう過ぎた事だ。何のわだかまりもないよ」

恐ろしい上司が怒気を帯びた視線で睨んでいたので、ボールドウィンは差し出された手を取らざるをえなかった。しかしむっつりした表情を見れば、彼が相手の言った事をほとんど納得していない事は明らかだった。

マギンティは二人の肩を勢い良く叩いた。「チ!女だ!女だ!」彼は叫んだ。「同じ女がなんで同胞二人に割って入るのかと思うと、これは不運な話だな!まあ、この問題に決着をつけるのは、その女だな。神のおかげで、これは支部長の管轄外だ!その女以外にも女は大勢いるだろう。お前は341支部に加入しろ、マクマード。ここではシカゴと違って俺たちの流儀がある。会合は土曜の夜だ。そしてお前がその会合に出席すれば、バーミッサ・バレイでは永遠に大手を振って歩けるようにしてやろう」