「あなたが私のことを冷淡で非情な女と思っているのではないかと心配しています」彼女は言った。
私は肩をすぼめた。「私には関係ありませんね」私は言った。
「多分いつか私の事をちゃんと理解できるはずです。もしこれを分かってさえいただければ・・・・・」
「ワトソン博士に分かっていただく必要はないだろう」バーカーが慌てて言った。「ご自分でおっしゃられたように、先生に関係あることは何もないのだから」
「その通りです」私は言った。「ですから、失礼して散歩に戻らせていただきます」
「ちょっとお待ちください、ワトソン先生」女性が懇願するような声で叫んだ。「訊きたいことが一つあります。世界中の誰よりも正確にあなたが答えられることです。そしてそれで私には非常に大きな違いが生じるのです。ホームズさんと警察の関係については、ワトソン先生は他のどなたよりも良くご存知のはずですね。もしホームズさんが内密に何かを知ったとすれば、彼はそれを絶対に警部達に伝えなければならないのでしょうか?」
「そうだ、それだ」バーカーは熱意を込めて言った。「彼は独立しているのか、それとも完全な共同作業なのか?」
「私は、こういう話をしてよいか本当に分かりません」
「お願いです、 ―― どうかお話下さい、ワトソン先生!この点を教えていただければ、きっとそれで私達は助かります、 ―― 私は本当に助かります」
女性の声には誠実な響きがあり、一瞬、私は彼女の不適切なはしゃぎ方を忘れ、彼女の願いをかなえてやろうという気になった。
「ホームズ氏は独立した探偵です」私は言った。「彼は誰にも仕えていませんし、自分自身の判断で行動します。とはいえ、彼は当然同じ事件を捜査している警官に対しても誠実でありたいと思い、犯人を裁判にかける助けになりそうなものは何一つ隠そうとしないでしょう。これ以上は、私は何も言えません。もしあなたがもっと詳しい情報をお望みなら、ホームズ氏自身に尋ねることです」
こう言って、私は帽子を持ち上げ、あの目隠しの生垣の後ろに二人がまだ座っているのを後にして、歩き去った。生垣の反対側の端を回る時、私が振り返ると、彼らがまだ熱心に話し合っているのが見えた。そして、二人とも私の後姿をじっと見ていたので、私の話について議論していたのは明らかだった。