部屋の明かりはすべて消されていた。暗い窓越しにフェリアーは、自分が所有し、今や永遠に放棄しようとしている畑を覗き込んだ。彼は長い間、これに人生を捧げてきた。しかし、娘の名誉と幸せを願う心は、失う財産に対する未練を上回った。さやさやと音を立てる木と、広大に広がる穀物畑は、どこまでも平和で幸福な風景に見えたので、殺人者の気配がその全体に潜んでいるのを見破る事は難しかった。しかし若い狩人の青ざめた顔とこわばった表情を見れば、彼がこの家にやってくる時、嫌と言うほど危険な目にあってきたことは明らかだった。
フェリアーは金と紙幣の袋を持ち、ジェファーソン・ホープは乏しい食料と水を持ち、ルーシーは僅かな貴重品を入れた包みを持っていた。非常に慎重に、ゆっくりと窓を開け、彼らは黒い雲が闇をさらに濃くするのを待った。それから一人づつ窓を抜けて小さな庭に出た。息を潜め身をかがめ、彼らは庭をつまずきながら横切り、生垣に身を潜めた。彼らはトウモロコシ畑に開いた切れ目まで生垣に沿って移動した。彼らがちょうどその場所まで着いた時、青年は二人の同行者をつかんで、影の中へ引き倒した。二人はその場所に倒れたまま、無言で震えていた。
草原での訓練によって、ジェファーソン・ホープが山猫の耳を持っていたのは幸運だった。三人は、山フクロウの物悲しい鳴き声が、ほんの数ヤードと離れていない場所から聞こえる寸前、あわやというタイミングでしゃがみこんだ。すぐに、少し離れた場所から別の鳴き声が答えた。同時に、彼らが目標としていた切れ目からぼんやりした暗い人影が、現われた。そして悲しげな泣き声の合図がもう一度聞こえた。これに応じて二人目の男が暗がりから現われた。
「あしたの深夜」最初の男が言った。この男が首謀者のようだった。「ホィッパーウィルヨタカが三度鳴いた時」
「それはいいな」もう一人が答えた。「ドレバー兄弟に言っておこうか?」
「伝えておけ。そして彼から残りの者に。九から七!」
「七から五!」もう一人が返した。そして二人の人影は別の方向に足早に去った。彼らの最後の言葉は、明らかに何らかの合言葉とその返答だ。足音が遠くに消え去るや否や、ジェファーソン・ホープはぱっと立ち上がり、親子が裂け目を抜けるのを助け、全速力で畑を横切って先導した。彼は女性を支え、体力が切れた時はほとんど抱きかかえるようにして走った。
「急げ!急げ」彼は時々、あえぐように言った。「歩哨の境界線を越えているところだ。速度がすべてだ。急げ!」