コンプリート・シャーロック・ホームズ
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遂に我々は確実な証拠を得た。それでも逃亡した銀行家と、自分の銛の一本で壁に止められたピーター・キャリー船長の間には大きな隔たりがあるように思えた。我々は全員この青年の言葉に熱心に聞き入っていた。

「実際にこの事件に関係していたのは父でした。ドーソンは引退していました。私はそのときまだ10歳でしたが、すでに恥ずかしさと恐怖を完全に感じることができる年になっていました。私はいつも父が全ての有価証券を盗んで逃亡したと言われてきました。それは事実ではありません。もし父が証券を現金化する時間を与えられればすべては上手く行き、債権者全員に全額返済できるというのが父の信念でした。父は逮捕状が発令される直前に小さなヨットでノルウェイに向けて出発しました。私は父が母に最後を告げた最後の夜のことを覚えています。父は自分が持っていく有価証券の一覧を私達に残しました。そして父は汚名を晴らして帰って来て、自分を信じていた人に一人も迷惑はかけないと誓いました。それから父の消息は途絶えました。ヨットも父も完全に消えてしまいました。母と私は、父もヨットも、持って行った有価証券と共に海の底にあると信じていました。しかし私達には実業家で支援してくれる友人が一人いました。そして彼が、少し前に私の父が持って行った有価証券の一部がロンドン市場にまた現われた事に気づきました。私の驚きは想像していただけるでしょう。私は数ヶ月をかけて、それを追跡してきました。そしてもう駄目かと思うほどの困難を何度も乗り越え、私は最初の売り手がこの小屋の持ち主のピーター・キャリー船長だった事を突き止めました」

「当然、私はこの男について調べました。私は彼がある捕鯨船の指揮をしていた事を知りました。その船は私の父がノルウェイに向かって横断しているまさにその時に北極海から戻ることになっていました。あの年の秋は非常に嵐が多く、南から強風がずっと吹いていました。父のヨットが北に向かって流されて、そこでピーター・キャリー船長の船と会う可能性は十分あります。もしそうなら、私の父に何が起きたのでしょう。それはともかくとして、もし私がピーター・キャリーの証拠から、有価証券が市場に出てきた経路を証明することができれば、それを売ったのは私の父ではなく、父が個人的な利益のために持ち出したのではなかったと証明できます」

「私は船長に会うつもりでサセックスにやって来ましたが、ちょうどこの時、彼は恐ろしい方法で殺害されました。私は検死報告書で、彼の船室の中にシー・ユニコーン号の古い航海記録が残されているという記述を読みました。私はひらめきました。もし私が1883年の8月にシー・ユニコーンの船の上で何が起きたか確認することができれば、父の運命の謎を解く事が出来るかもしれません。私は昨夜これらの航海日誌を見ようとしましたが、扉を開けることができませんでした。今夜、私はもう一度試して成功しました。しかし私はその月に関するページが日誌から破り取られているのを発見しました。次の瞬間、気がつくと私はあなたの手に捕らえられていました」

「それで全部か?」ホプキンズが尋ねた。

「ええ、それで全部です」彼はそう言う時、目をそらせた。

「他に何も我々に言う事はないのか?」

彼はためらった。

「いいえ、何もありません」

「昨夜より以前に、ここに来たことはないのか?」

「ありません」

「では、これはどう説明するんだ?」ホプキンズは最初のページに逮捕者のイニシャルがあり、表紙に血の跡がついた決定的な手帳を掲げて叫んだ。

哀れな男は崩れ落ちた。彼は手に顔をうずめ、全身をわなわなと震わせた。

「どこで見つけたのですか?」彼はうめいた。「知りませんでした。私はホテルでなくしたと思っていました」

「もう十分だ」ホプキンズは厳しく言った。「これ以上言いたい事があれば、法廷で言うことだ。これから私と一緒に警察署まで来てもらおう。さて、ホームズさん、あなたとご友人に手伝いに来ていただいて非常に感謝しています。結局あなた方に来ていただかなくても、この事件を上手く解決できたみたいですが、それでも感謝します。ブランブレティエ・ホテルにあなた方の部屋を予約してありますので、みんなで一緒に村まで歩いていきましょう」